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ちらつくインフレの影と見えてきた量的緩和縮小

2021.6.17
6月10日に2021年5月の消費者物価指数(CPI)が米国労働省から発表されました。前年同月比5.0%上昇し、2008年の秋以来の12年ぶりの伸びだった前月の4.2%よりさらに伸びが加速しています。前年が新型コロナウイルスで物価が大きく落ち込んだ反動が要因だと思われます。
また、前月比の推移ですが、-0.7(20年4月)、-0.1(20年5月)、0.5(20年6月)、0.5(20年7月)、0.4(20年8月)、0.2(20年9月)、0.1(20年10月)、0.2(20年11月)、0.2(20年12月)、0.3(21年1月)、0.4(21年2月)、0.6(21年3月)、0.8(21年4月)。
肝心の中身ですが、前年同月比の品目別では前月とほぼ同じ品目が上昇しています。具体的には、エネルギー全体は28.5%上昇し、特にガソリン価格が56.2%上昇。財全体は6.5%の上昇で、うち中古車・トラックが29.7%、衣料品も5.6%上昇し、前月よりも伸びが加速しています。サービス全体は2.9%上昇し、うち輸送サービスが11.2%、自動車保険が16.9%、航空運賃が24.1%の上昇です。その中でも注目するのは、中古車・トラックです。フォードなどのメーカーは半導体不足で生産を絞らざるおえなく、新車の需要はあるものの製品がないとのことで中古車に殺到しているとの見方です。前年の水準が低いので当面の消費者物価は高めに出ると思います。
最近の急激な物価上昇は一時的との見方が大勢で、パンデミックで打撃を受けた業種では今後も急激な物価上昇が続くとみられています。これがいつまで続くかは分かりませんが、経済全体では持続的に物価が上昇するのはまだまだ時間はかかると予想します。
また、アメリカでは人手不足と言われていますが、例えばマクドナルドではアメリカの直営店で働く従業員の時給を今後数か月で平均10%引き上げると表明しました。これらが広がると物価にも影響してきます。そして、米国5月の失業率はやや改善しました。連邦準備制度理事会(FRB)は最近の物価上昇は一時的で景気は過熱していないとして、早期の金融緩和縮小を再三否定しています。
物価や雇用の最新の状況を踏まえて連邦公開市場委員会(FOMC)が15日、16日に開かれ、FRBのパウエル議長のコメントでは、「経済は目標からは程遠い状況にあるが明確に改善している。参加者は今後の会合でも経済の改善が続くと予想。量的緩和縮小の議論を始める。今日の会合でも議論した」それにより、FRBが公表した政策金利の見通しでは、2023年までの利上げ見込むFOMC参加者が従来の7人から13人に増え、これまで2024年以降としていた利上げの時期を1年前倒しすることになりそうです。利上げの回数は1回なのか2回なのか。
7月のFOMC会合か8月のジャクソンホール会議で量的緩和縮小について話し合う可能性が高まりました。それを受けて2021年の年末までには量的緩和縮小が決定し、2022年1月から開始し、利上げは2023年になりようやくゼロ金利解除となります。
また、FRBの物価上昇の見通しです。2021年10月-12月期が3.4%、2022年10月-12月期が2.1%。21年10月-12月期GDP成長率は従来の6.5%から上方修正し7%に。

最後に、今後のアメリカ経済の重要日程です。

2021年 
7月       パウエルFRB議長 金融政策で議会証言
7月27日・28日 FOMC会合
7月31日     米国連邦債務上限の適用停止期限
8月26日~28日 ジャクソンホール会議
9月21日・22日 FOMC会合
10月1日    2022年の会計年度がスタート

2022年
2月5日 パウエルFRB議長の任期

注目は2022年2月のパウエル議長の任期です。バイデン大統領は女性やマイノリティを登用したいというのが明確なので、パウエルさんが再任されるかどうかが鍵になります。
そして、日本では今日と明日に行われる日銀金融政策決定会合、コロナ支援に長期国債、ETFについて話し合われるでしょうか。

今後のアメリカ経済、特にインフレが加速的に上昇するか注視すること、それが長期金利や株価にも影響を及ぼす可能性があります。それを受けてFRBがこの上昇にどう対応するかが注目です。あとは、雇用回復が遅れることがリスク要因です。
アメリカの消費者物価と雇用の重要指標は引き続き大注目です。