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消費者のインフレ予想と値上げ耐性の変化

2022.5.19
毎月の習慣として、過去や現在の数字や指標を定点観測しています。例えば、景気、産業、雇用、消費、物価、金融、相場、国際など。数字は嘘をつきません。ただし、その数字が本当であればですが。未来を予想し対策を講ずるために重要なことであると考えています。

今回はその中でも重要な指標のうちの一つ、明日20日には4月の数値が発表される消費者物価指数(生鮮除く総合)について。CPIともいいますが、日本の前年比の数値です。

2021年1月から-0.7、-0.5、-0.3、
2021年4月から-0.9、-0.6、-0.5、
2021年7月から-0.2、0.0、0.1、
2021年10月から0.1、0.5、0.5、
2022年1月から0.2、0.6、0.8、
2022年4月は2.5%(市場予想値)

昨年は携帯料金の値下げがあるものの、ここのところ上昇しています。直近の欧米の消費者物価はおおむね7~9%程度ですので日本とは大きな開きがあります。やはり日本は消費者自体がインフレはしないと思っていたり、値上げを嫌う傾向にあり、企業が値上げをしにくい状況にあります。

東京大学の渡辺努教授の渡辺研究室が、消費者のインフレ予想や値上げに対する態度や意識などの面白いアンケート調査をされています。

①【1年後の物価は現在と比べてどうなるか?】

今後、物価は上がっていくかという、インフレ予想の質問です。
2021年8月の調査で、日本では「少し上がる」が一番多いものの、欧米と比べて「変わらない」の割合が多いです。一方、欧米は「かなり上がる」「少し上がる」が多く「変わらない」が少ないのが特徴です。つまり、日本のインフレ予想はこの時点では低いということです。
2022年4月の調査では大きく変わりました。日本は「少し上がる」「かなり上がる」が多く「変わらない」が少なくなりました。欧米は「かなり上がる」「少し上がる」の順番です。よってここ数カ月で日本のインフレ予想は欧米とさほど変わらなくなってきているということがいえます。つまり、インフレ予想が上がると値上げの耐性ができてくるということです。

②【なじみの店でいつも買う商品の価格が10%値上げされていたら どうしますか?】

あなたは値上げを受け入れるかという、値上げ耐性の質問です。
2021年8月の調査で、日本は57%が「別の店に行く」、43%が「同じ店で同じ商品を買い続ける」、欧米は約60%が「同じ店で同じ商品を買い続ける」、約40%が「別の店に行く」という結果です。そもそも物価が上がることが常識であり、一つのお店が上がると他のお店も同じように上がるものと考え同じお店で高いけど買うというのが欧米で、値上げに強い耐性があるということです。一方、日本の消費者は物価が上がらないと信じているので、他のお店に行けば元の通りの安い値段で買えると思っているのです。
2022年4月の調査で、日本は56%が「同じ店で同じ商品を買い続ける」、44%が「別の店に行く」、日本と欧米は同じような結果になりました。

ずっと日本では原材料費や人件費などのコストの上昇分を価格に転嫁できない状況でしたが、潮目が変わったともいえます。つまり、消費者も価格上昇を受け入れてきはじめているともいえます。今後、企業も価格転嫁を進めていければ良いのですが。よって、今後は欧米のような7~9%という高いインフレではないにしても、日本でもそこそこのインフレになるのでしょうか?ここ30年、日本は慢性的なデフレに苦しめられてきましたが、デフレから抜け出せる兆候が見えてきていいことだと思います。

③【1年後のあなたの収入はどうなっている?】

消費するには賃金が重要で、今後の収入に関する質問です。
2022年4月の調査で、日本は「変わらない」「どちらかと言えば悪くなっている」が欧米と比べて多いです。また、日本は「どちらかと言えば良くなっている」が極端に低く、これはとても気がかりです。日本と欧米では全く違う傾向です。実際に欧米では賃金が上がってきているのでこのような結果になったと思います。

この3つの調査結果から、日本は物価は上がりそうで徐々に耐性ができているものの、賃金が上がる見込みがないということです。これでは、企業のコスト上昇分を価格転嫁することがしにくくなる、ということにも繋がります。

消費者物価指数が毎年2%上昇する状態を実現するとの日銀の目標は未達でありますが、デフレ脱却のためにも、特にインフレ経験のない、デフレ経験しかない若い世代に健全な物価観を持っていただくために何ができるのかを社会全体で考える必要があると思います。
経済のためにも消費の下支えが重要です。そのためにも賃金を引き上げる事が重要になります。しかしながら、企業は賃金をすぐに上げるのは難しく、政府による減税や所得面の何らかの支援など大胆な財政政策が必要です。いずれにせよ、いい変化であると思いたいです。

そんな若い世代の方向けに、来週と再来週、「人生5大資金セミナー」と「資産形成セミナー」を実施します。

>>「人生5大資金セミナー」<<
>>「資産形成セミナー」<<