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働き控えを生む年収の6つの壁

2023.2.2
パート従業員の多くの方が気になっている年収の壁。壁は6つ、改めておさらいです。


年収100万円 住民税発生
年収103万円 所得税発生
年収106万円 社会保険料発生 *従業員101人以上
年収130万円 社会保険料発生
年収150万円 配偶者特別控除縮小
年収201万円 配偶者特別控除ゼロ


昨日の衆議院予算委員会で岸田総理が「年収の壁」について、「政府としてどんな対応ができるのか幅広く対応策を検討してまいりたい」、
また、加藤厚労大臣も「社会保険の適用拡大をはじめとした取り組みを進めていくということを中心にですね、さらにどういう対応が可能なのか、さらに議論は深めたいというふうに思っています、“社会保障制度は公平性が大事”と指摘しつつ、政府として検討を進めていく考え」を示しました。

平成2年10月から1年間の厚労省の調査によりますと、配偶者がいる女性の中で就業調整をしているのは20.2%にのぼります。また、野村総研の調査では、「時給上昇により以前より就業調整せざるを得ない」と感じた人は約6割にのぼり、「働き損にならないなら今より多く働きたい」女性は約8割もいます。

働けば働くほど手取りが減少するので労働時間を抑制→壁は超えないように調整→人手不足がさらに進む→企業側は時給を上げる→さらに労働時間を削る、「無間地獄」になっているのです。

このタイミングで、日本で一番パート従業員の多いイオンが時給を7%賃上げすると報道がありました。対象が約40万人、これによりパート従業員の年収が約8万円増加することになるようです。その他、ファーストリテイリングが時給平均2割増、オリエンタルランドは約7%にあたる時給80円増の1,140円~1,530円。一方ではイオンにとって、パートの賃上げにより人件費が年間で約300億円以上に増加し、23年2月期の営業利益(見通し)は2,100~2,200億円、つまり営業利益の1割以上になる見込みです。

ただ、制度変更には時間がかかることから、政府・与党内では現在、一時的な対応として年収130万円を超えた人にかかる社会保険料を、国が補填、給付する形で穴埋めする案などが浮上しています。

3つの基本的な経済主体である、「家計」、「企業」、「政府」が一体となり社会全体の問題を解決していかなければと思います。