お知らせ
国に土地を引き取ってもらえる?
2023.5.8
先月4月27日から始まった土地の引き取りに関する新しい制度をご存知ですか?
相続土地国庫帰属法という制度で、相続した土地が不要な場合、所有権を国に返すことができる制度です。
この「国の土地引き取り制度」なぜ開始したのかというと、全国で相続登記や変更登記が行われないうちにどんどんと増えた所有者不明土地の発生を防ぐためです。
この制度に加えて、来年24年4月以降からは相続や遺産分割から3年以内に相続登記の手続きを取ることが義務化されます。過去に相続して未だに土地の登記をしていない人も対象です。
そのため、土地は不要だけど、引き取り手を探すのも大変…と考えている人には一つの選択肢になるのがこの新制度です。
しかし、国が引き取ってくれるなら相続した土地を引き取ってもらいたい!と考えている方に注意点があります。
まず、制度のメリット、デメリットを見ていきましょう。
メリット
管理や処分に困っている不要な土地の引き取り手を自分で探す必要がないこと
手放すのが難しい農地や山林も対象
デメリット
お金がかかる
審査項目が多く制度対象の土地は限定的
調査方法によっては時間が数か月単位でかかる
どんな土地でもすぐに引き取りますというわけではないのが制度の注意点です。
例えば、建物がある土地、土壌が汚染されている土地、地割れ・陥没がある土地、管理・処分にコストがかさむ土地、隣人とトラブルのある土地等、普通に利用する事ができない土地は原則引き取ってもらえません。
また、承認されたとしてもコストがかかります。
まず、申請時の手数料として土地一筆あたり1万4000円。さらに10年分の管理費相当の費用を支払う事になります。
おおむね一律20万円に収まるケースが多いですが、土地の類型によって金額が変わります。
そのため、自分で管理費や固定資産税を払う負担と制度を利用するのとでは、どちらが負担が軽いかを比較する事をお勧めします。
でも自分で管理するのは大変だという方は、他にも相続した土地を手放す方法があります。主に以下の3つです。
・他の相続人に相続してもらう
・相続後、第三者に売却、または贈与(寄付)をする
・相続放棄する(他の遺産も手放す事になります)
相続した土地に家を建てたり、農地にしたり、売却や不動産収入を見込める事が望ましいですが、固定資産税もかかるし、管理の手間もかかるし、使わない土地だと考えている方は、将来の相続も含め、土地を手放す際にかかるコストを考えて早め早めの対策をお勧めします。