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日経平均株価30年半ぶりの3万円とその先にある資産運用のゴール

2021.2.18
日経平均株価が30年半ぶりに3万円台に回復しました。過去30年の日経平均株価を確認したいと思います。最高値は1989年12月29日の38,915円、最後に日経平均が3万円台をつけたのは1990年8月2日の30,245円でこのときは下降局面でした。その後、ITバブルなどの後始末、不良債権処理、リーマンショックを経て翌年の2009年3月10日にはバブル後最安値の7,054円。その後はアベノミクスで回復の軌道に乗り、コロナショックによる急落もありましたが、世界的な金融緩和もあり2021年2月15日に3万円台を回復しました。

世界の株式時価総額、1989年当時は上位10社中6社が日本企業、NTTや日本興業銀行、住友銀行、富士銀行、第一勧業銀行、三菱銀行でした。現在は上位はアップル、アウジアラムコ、マイクロソフトに続き、アマゾン、アルファベット、テンセント、テスラ、フェイスブック、アリババなど設立から30年に満たない企業が上位10社中6社もあり、上位の会社はオーナー系が多いのも特徴です。上位10社の中に日本の企業は見当たず、トヨタ自動車が32位に食い込んでいます。国際的に日本の競争力が落ちていることは否めません。また、当時と今では業種の入れ替わりが大幅にあり、日本は新陳代謝が出来ていないと言わざるおえません。さらに、当時は不動産価格も高騰しており、山手線内の土地と米国全土の土地価格が同じという異常なほどでした。

さて、このまま株価は上昇し続けるのでしょうか?また、今はバブルなのでしょうか?経済の回復を見越した妥当なのもでしょうか?説明がつかないのがバブルと言われています。私は今はバブルではないと考えています。

1989年12月末のバブル期最高値当時:名目GDP399.9兆円、東証時価総額611.1兆円でDDP比1.53倍、PER70.6倍、株式益回り1.42%、10年債利回り5.72%、マネタリーベース35.6兆円
2021年2月16日時点:名目GDP539.3兆円、東証時価総額755.4兆円でGDP比1.40倍、PER24.7倍、株式益回り3.93%、10年債利回り0.075%、マネタリーベース613.3兆円

GDP比1.40倍くらいなので過剰の水準ではなく、PERは当時70倍と加熱しすぎていましたが今は25倍程度でそこまで高くありません。また当時は、株式益回りより安全資産である10年債の利回りが高いという異常なことでしたが、今は正常な状態であるといえます。そして、市中に出回っているお金の量であるマネタリーベースですが、今はカネ余りであるということを如実に表しています。昨年の世界的なパンデミックにより巨額の財政出動をし、お金の印刷が増え、企業業績が好調により株式市場に資金が大量に流れているのです。

特に、日本企業の業績が良く、第3四半期決算は上方修正企業が下方修正企業の約4倍もあります。業種では自動車、機械、サービス、化学、情報通信、海運、小売が伸びを示しており、利益率が8%程度まで戻り、コロナ前の水準に戻しております。企業の自助努力による稼ぐ力が高まってきていると言えます。
また、今回の株高に日銀も一役買っていると考えます。例えば、ファストリテイリング株の20%以上を日銀が保有しています。株を売らない大株主がいるのは他の投資家にとって安心感になり、日銀が大規模な金融緩和策の一環として日本株に投資するETF上場投資信託を大量に購入した結果、間接的に企業の大株主になっているのです。黒田日銀総裁は当面ETFの買い入れをやめるとか金融緩和の出口を考える状況にないと発言されています。ファストリテイリング以外にもコナミ、ヤマハなど、日銀が大株主の企業は多数あります。投資家が株式を買いやすいように、株価が下がったら日銀が買い支える安心感を与え続けたとも言えます。

また、世界でも日本でも、新型コロナ感染者数の減少とワクチン接種の拡大して、日本でも16日から接種が始まりました。さらに、トランプ大統領の弾劾裁判が早期に終了し、今後はアメリカでは景気対策の審議が加速していきます。

そしてここにきて、アメリカの10年債の利回りが1年ぶりに一時1.3%まで急上昇しました。債券が売られてそのお金が株式市場に回ってきているので教科書通りです。このように株高の要因は様々な要素が複合的にあります。

お金の印刷が増えるということは、インフレが懸念されるということになります。
インフレ率(貨幣価値の下落率)は、資産運用にとって重要な要素なります。

インフレにより、格差の拡大も頭の片隅に置く必要があります。格差が第二次大戦前と同水準になり、アメリカ上位1%の所得合計が全所得に占める割合が約19%、下位50%の所得合計が全所得に占める割合が約13%になっております。富裕層は課税を逃れる手段はありますし、消費税など広くから税を集めると景気の悪化も懸念され、税金が徴収しにくい状況が続くと考えるのが妥当で、つまり、今後も大量にお金が増えると見込まれます。
また、今の株高は財政(拡大)と金融(緩和)に頼っている側面があります。

資産運用においては、今の株高は通過点であります。利益を確保したい気持ちも分かりますが、資産運用のゴールを思い出していただき、長期的視点でお願いしたいと思います。