アンジン株式会社

山陰を拠点とする成果にこだわるFP事務所

お気軽に相談、お問い合わせください

0858-24-6260
お知らせ

お知らせ

日本人にとっての桜

2021.4.8
あなたの桜といえば何ですか?
日本人なら誰もが、自分だけの桜のシーンがきっとあるでしょう。

今年は桜の開花が早く、北日本を除き既に多くの地域で満開が過ぎようとしています。年々開花の時期が早まり、桜といえば入学式のイメージですが、そのうち桜といえば卒業式になるのでしょうか。

さて、「さくら」という言葉の語源は諸説あるようですが、個人的には稲作と関係しているというのが合点がいきます。

「さ」 農耕の神様や穀物の精霊
「くら」 神様の居場所である御座(みくら)

雪が消えて冬が終わり、穀物の精霊が最初に舞い降りてくる場所ということのようです。農民たちのお花見は、貴族のお花見とは違った意味合いがあります。農民たちは春の訪れと共に冬の神様を山にお送りし、春の神様をお迎えする行事としてお花見が行われ、桜の咲き具合を見てその年の豊作を占ったと言われています。

また、「咲く」が語源とも言われています。エネルギーがいっぱいになり、これ以上は先に進めない状態、エネルギーが充満し、それが破れて先に出る。それが「咲く」ということです。

花が一斉に咲き、山全体をピンク色に染め、2週間くらいで散ってしまう桜。日本人にとっては馴染みが深く、春の風物詩。万葉の時代から現代に至るまで、桜は特別な花として日本人に愛されてきました。

また、象徴としての桜は、時代によって異なります。現代では桜の下で宴会をしたり、小さな体で大きなランドセルを背負い入学などの門出を彩る花。明治から昭和の戦中は、軍歌の歌詞に比喩として登場し軍人のシンボル、戊辰戦争以後は戦死者を祀る靖国神社にたくさん植えられました。

ところで、桜を詠んだ歌がたくさんありますが、私は桜の季節になったら、あの和歌を思い出します。

「世の中に たえて桜の なかりせば 春の心は のどけからまし」(在原業平 古今和歌集 伊勢物語)
(訳)世の中に桜がなかったなら、春になっても、咲くのを待ちどおしがったり、散るのを惜しんだりすることもなく、のんびりした気持ちでいられるだろうに。

もし、この世から桜がなくなってしまったら、春はもっと穏やかな季節で、桜には人々の心を揺さぶる不思議な魅力がある、と桜を讃える意味が込められています。

また、この和歌には有名な反歌があります。

「散ればこそ いとど桜はめでたけれ 憂き世になにか久しかるべき」
(訳)桜は惜しまれて散るからこそ素晴らしいのです。この世に永遠なるものは何もないのだから。

艶やかに、慎ましく、華やかに、優雅に、美しく咲いた桜に心を浮き立たせ、儚く散っては心を惑わせる。古来の日本人の心情を大きく揺さぶり続けた桜の花さえなくなれば、春はどれだけ平和で平凡な季節でなんとも味気がないものだろうか。

ちなみに、和歌に登場する世の中は、男女の仲という意味もあるそうです。
世の中を男女の仲に置き換えてもしっくりきます。

世界で何が起ころうと、私たちの身の回りに何があろうと、今年も春がやってきました。これまでも、これからも変わらず。万葉時代を生きた人から現代を生きる人まで、私たち日本人にとって、桜の花は単なる花ではなく、人生そのものであり、無常を表しているような気がします。

最後に、ワクチン接種が進んでいますが、コロナがゼロになるのは難しいと思います。医療と経済の両方があってこそ命が守れます。私たちの社会的使命は、広い意味で真の経済教育を普及させることだと考えています。来年は桜の下でお花見が出来る日を願って行動していきます。お花見といっても桜を見るのは最初だけで、ワイワイと楽しく宴会をするのが目的ですが…